格安航空券とは

一般的に「格安航空券」・「割引航空券」(特別運賃・割引運賃)などと呼ばれる航空券には、航空会社が直接販売を行う正規割引運賃(Special Excursion Fare,通称:PEX運賃)を適用したものと、旅行業者が個人用の包括旅行運賃(Individual Inclusive Tour Fare,通称:IIT運賃)ないし団体用の包括旅行運賃(Group Inclusive Tour Fare,通称:GIT運賃)を解体して販売するものがある。IIT運賃とGIT運賃は合わせてIT運賃(包括旅行運賃)と呼ばれる。また、IT運賃を包括旅行に用いずそれのみで旅行業者が販売することをエアオン(Air Onlyの略)と呼ぶこともある。

普通運賃の場合、購入時に必ずしも利用便を予約する必要がない(OPEN発券が可能)が、大半の格安航空券では往復の利用便を予約してから購入しなければならない(往復FIXの義務)ほか、予約の変更やストップオーバー(途中降機。目的地以外の都市に24時間以上滞在すること)、オープンジョー(出発地・到着地の一方、ないし両方が異なる経路とすること)などに制限がある。

さらに安いチケットの場合、直行便で無く乗継便の利用となっていて(日本から欧州へ向かう場合、ソウル、香港、モスクワなどでの乗り継ぎとなる)、通常の直行便より時間がかかったり、乗継の待ち時間が極端に長いことがある。

日本発着の国際線航空券に関しては1994年、正規割引であるPEX運賃へそれまでのIATA-PEX運賃に加え、IATA-PEXの70%割引を下限とする範囲内で航空会社が自由に運賃を設定できるZONE-PEX運賃が加わったが、IT運賃に対する下限が1998年に撤廃されていることから、航空会社では自社が自由に設定・直接販売を行えるZONE-PEX運賃の下限撤廃を要請し続け、2008年4月に実現させている。

航空会社によっては、既に個人向けに単独で販売される割引航空券についてはPEX運賃を用いたものに一本化し、IT運賃を事実上廃止した所もある。

簡単に言うと...
旅行会社がツアー用に安く仕入れた飛行機のチケットをバラ売りするわけです。安い代わりにデメリットとしては片道単位では購入できない、購入時に往路・復路の便を決めなければならず、後から変更できない、もしくは変更時に手数料がかかる、などがあります。
IATA-PEX運賃
国際航空運送協会(略称:IATA)が個人の回遊旅行を対象に設定したPEX運賃。発券時期や払い戻し時期に制限がかかるものの、IATAの加盟会社であればどの会社の便でも共通して利用することが可能である。
ZONE-PEX運賃
各航空会社が独自に設定するPEX運賃。必然的に、利用できる航空会社には制限がかけられる。
APEX運賃
事前購入周遊運賃(英:Advance Purchase Excursion Fare)の略称で、旅行開始前の一定期日までに旅行者が購入することを前提に、特定の都市間へ独自に各航空会社が設定したPEX運賃。ZONE-PEX運賃よりも制限が厳しくなるが、それよりも安くなる事例が多い。
IIT運賃
個人包括旅行運賃のことで、本来はその名のとおり個人向けに宿泊や地上運送を含めた包括旅行(パッケージツアー)を旅行業者が造成する際のみ適用される運賃である。しかしながら現在では、旅行業者によって航空券のみがばら売りされるのが恒常化しており、航空会社でも搭乗率向上のため、これを半ば黙認した状態となっている。 大半は往復航空券であり、片道のみを利用して復路を放棄した場合などには、航空会社による罰則がかけられることもある。
GIT運賃
団体包括旅行運賃のことで、本来は2名以上の団体を対象とした包括旅行を旅行業者が造成する際のみ適用される運賃である。しかしながらIIT運賃同様、航空券のみがばら売りされているのが現状であり、航空券だけを単独の旅行者が用いている事例も見られる。